師匠

わたしが「師匠」と呼べる人に出会ったのはインド舞踊を始めてから。

踊りの師匠と弟子の関係は、宗教的であり、時に親子、恋人、友人、、、、先生と生徒、人と人、、、、とその時々でいろんな側面がある。

踊りを始めたのが2000年。インドに行き始めたのが翌年の01年。
あれから13年、、、、その間に数人の先生について習っている。最初は日本で日本人の先生に。
インドで最初に習ったときはステップから習いなおした。とっても厳しい女の若手の先生で最初は体中あちこち痛んで、泣きそうだった。というか泣いた。でもおかげで基礎がしっかり身についたし本気で踊りをやっていく、という決心もついた。

インド舞踊での先生との関係は色々とむずかしい(こともある)。あることがきっかけで気になり始め、悩んで他の先生に習うことに。言葉の問題や価値観、文化の違い、ストレス、色々できっと実際より事がむずかしくなっていただろうと今となっては思います。
それはある意味夫婦でいえば「離婚」のような決別。そしてインド舞踊界は狭い世界なので他の先生に習う、というのも簡単なことではない。

その先生のところに最初は見学に行き、次に行った時は弟子入りを申し込んだわけです。それが03年のこと。
「これこれこういう事情でかくかくしかじかであなたに是非習いたい。」と半泣きの状態だった私の話をだまって「うんうん」ときいてくれて「明日から来なさい」と。
先生はその当時60代も半ばをすぎた大御所。とても紳士的で威厳のある、エレガントで高貴な雰囲気を漂わせた先生。
朝7時半からの個人クラス。まだ暑くなる前の清々しい朝の空気と心地の良い緊張感。この方の前ではまるで生まれたてのひよこのような私。

先生から「ヴァルナム」を習い始めた日のことは今でもよく覚えている。「ヴァルナム」というのは踊りの演目で30分以上ある大曲。ヌリッタというステップの部分と、アビナヤという感情表現の部分が交互に構成されている、プログラムではメインにくる曲です。初めてのヴァルナム。(色んな種類のヴァルナムがあります)多くのダンサーがやはり初めに習うであろう「Roopam Juchi]というシヴァ神への信仰者のバクティを謳った演目です。最初の部分で「あなたのその美しい姿を見るために、はるばるやってきたんですよ」というラインを表現していくのですが、教わった時に私の中にその「気持ち」がハートに火がつくように湧いてきてそのまま表現に出たのです。「そう、それだよ!」「ああ、、、これなのか」と。
そんな風に一対一のクラスが進んでいく日々でした。う~ん........今から思うとなんて贅沢だったんでしょう。icon12
先生からそんな風にして大事なことを沢山たくさん学びました。
翌年はがんばって半年滞在し、先生の勧めでインドでの初舞台。ソロで初めてマルガムというワンセットの曲を踊るのです。ヴァルナムも含めて全6曲。一時間半以上の舞台!思い出すと目が細くなってきます。

その後も先生のおかげで色んな経験をしました。先生のグループの作品にも2回ほど出していただきアッサム公演にもつれてってもらったっけ。カナダのトロントのインド舞踊フェスティバルとか、、、、。

そのうちプライベートクラスは時間的に不可能になり、4~5人の外国人のグループクラス。それも楽しかったな。

さて、、、、そんな数年が過ぎて、私の中で新たに何か求める気持ちが湧いてきたのです。問題があったわけでも先生に不満でもなんでもなく。この時も本当に悩みました。悩んでそして先生に打ち明けたのです。
「これこれこういうわけでこの先生に習ってみたい」と。


でもその後もインドに行くと先生に挨拶をしに行ってました。私の中ではやっぱり「師匠」なのですから。
前々回は一度クラスもとってもらいました。「ここはすべてのダンサーの家だよ」と快く受け入れてくれた先生に感激しました。

その「師匠」の日本での喜寿公演があると知ったのが数日前、公演の前日。大阪の日本での最初のお弟子さんが招聘していた。「え~~~~!!!!」もっと前に知ってたら計画して行けたのに!大阪は遠い、、、、
でもせめて電話だけでもおめでとうを言いたい、声がききたい、と大阪のその方に電話。
久しぶりに聞く師匠の声。穏やかで優しい口調。電話する前は(電話苦手だし)緊張していたのが声を聞くと喜びに変わった。不義理な弟子である私のことも気遣ってくださり、終いに他の古典舞踊まで始めてしまった私を応援してくださる。
師匠が77歳、現役でこの踊りを踊っているという事実もすごいし、懐の深い人間性にも改めて感動した出来事でした。やぱり師匠と話している私はひよこです、、、、、。

そんなわけで今日は師匠との日々を思い出し浸っていました。こんなすてきな「師匠」に出会えた私はラッキーです。

師匠




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プロフィール
sunanda
sunanda
混沌とした神々の大地で生まれた祈りの舞、インド古典舞踊。
南インド古典舞踊「バラタナティヤム」を2000年より始め、01年より毎年渡印し04年にインドで初舞台。
2012年より東インド古典舞踊「オリッシー」をはじめ、繊細さと柔らかさ、力強さ、神聖さと生命力に溢れるその不思議な世界に魅了される。
インド舞踊の旅はまだまだ続く、、、、。
現在地元長野県安曇野を中心に、イベント、奉納、慰問など活動中。

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問い合わせなど bnatyammio☆(☆を@に変えて)yahoo.co.jp

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